
太平洋をヨットで横断したことはないので、体験的なことは書けませんが、本船では経験していますので参考までに書いてみます。
ヨットでは、この大圏航路を利用するのは、太平洋と大西洋で東へ向かう航路をとるときでしょう。西航する場合はトレ−ドウインドの利用になるので、そちらが優先されて使うことは少ないです。
本船でも自然条件に左右されることがあります。 それは、太平洋で冬のベーリング海の荒天を避けるために、アリュ−シャン列島の北を航海するかしないかで、純然たる大圏航路をとらないことがあります。実際の航路は30年前でも気象会社から航路の指示・オーシャンル−トがあって、船長判断ですが、それを航海していました。
ヨットで冬にこの航路をとることは無謀で航海する人はいないでしょう。それより夏のこの地での霧の影響でしょう。GPSが発達した今では大分に航海が容易になったと思いますが、レ−ダ−がほしいところです。
計算により航路を求められますが、北太平洋大圏航法図により例えば軽度10度ごとの地点をチャ−トから求めてそこを変針位置として求め利用している海図に移し替えて記入して変針針路を求めて航海していきます。
計算による例
野島崎34.54N,139.55Eからサンフランシスコ港外37.48N,122.40W
経度差10度で変針点とする。 大圏距離は4468マイル、頂点緯度48.10N,168.43W
変針路(四捨五入)
出発地 34.54N,139.55E N55E
変針点1 35.41N,141.17E N58E
2 40.34N,151.17E N65E
3 44.03N,161.17E N72E
4 46.24N,171.17E N79E
5. 47.44N,178.43W N86E
6. 48.10N,168.43W S86E 頂点
7 47.44N,158.43W S79E
8 46.24N,148,43W S72E
9 44.03N,138.43W S65E
10 40.34N,128.43W S60E
到着地 37.48N,122.40W

ヨットは風によりジグザグにしか進めないので、変針点はあくまで目標です。 西航するときのように
緯度線に沿って進む航路もありです。 ウインドマップ等により大圏航路を頭に描きながらの航路になります。 ヨットでは。
2016-6-3
追補
大洋横断するヨットには、今ではWiFi環境がほしいところです。 衛星電話によるしか無いのでしょうか。 辛抱さんのように陸から気象のサポ−トが受けられれば解決するかもしれません。 それもかなわぬヨットマンも多いでしょう。 日本にいる時のようにWindyが利用できれば良いのですが。 貿易風の利用できない太平洋・大西洋の東航進路の場合には、大圏航路を最短距離と意識して、衛星電話の短時間利用でWindyを使いその時の針路を決めるのが、デスクの上でのプランですが良いようです。
2022-1-10
新 船中発策U https://hayame.coolblog.jp/
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ヨットで外洋でのwifiは今は『イリジウムGo』が最安の通信料で使えます。
僕が回航を依頼され太平洋を横断した時には『インマルサットビーガン』でwifi環境を整え『エクスペディション』というソフトで『Gribファイル』を現在地から半径1000マイル程度1週間分の気象データを取って使っていて、毎日のロールコールはスマホをwifiに接続してLINEでしていました。
『Windy』はデータ量が大きすぎてとんでもない通信費になります。
Gribファイルもメッシュチャートなので低気圧でも台風でも簡単に避けることができます。辛坊さんのようにほぼ行き当たりばったりの情報は危険です。辛坊さんを心配していた人たちはほぼ衛星通信とGribファイルとビュワーソフトの存在を知っていた人でしょう。
周囲1000マイル1週間分の情報があれば大きな低気圧が近づいてくると大圏コースから45度ほど南へ進路を変えて3〜4日帆走ればまず荒天に追いつかれることはありません。
帰路は貿易風を使って帰ってきましたが大圏コースを帆走る往路は偏西風を使います。ただ大圏コースは40度近くまで北上するので寒いのがきついし日付変更線を超えてしばらくすると太平洋高気圧のため風がなくなり高気圧のエッジに沿って北側を回るか燃料を多く搭載し機走で進みます。
大圏航法図を参考に海図を確認し重要ポイントは入力しますがGPSプロッターは最初から大圏航路が表示され、常にコースを指示してくれるので楽ちんです。
辛坊さんが危険だと思ったのは『外洋は波が高い』との情報だけを信じて日本近海にとどまったことです。多くの人が八丈島の沖を回るようにアドバイスしていました。昔から『外洋は波が高い』という表現をされることが多いですが波の高さより波長と波頭の状態のほうが大切な要素です。本船にとって辛い波長になれば波頭が崩れていない限り小型船は上下するだけです。波は深いところから浅いところに風で吹き付けられると高くなり波頭が崩れ始めます。日本の近海はヨットにとっては難所であると言われるゆえんです。なので日本の大陸棚の内側やエッジ、太平洋上に点在する『海山』は避けて航海計画を作ります。辛坊さんにも陸上のサポーターにもこの基本的知識がなかったようです。
ちなみに20年前にはすでにインマルサットマリンミニという衛星通信やイリジウムがあり使用していました。15年前にはGribファイルが普及しておりイリジウムの衛星通信で20分ほどで先5日分の気象データが取れていました。2017年2019年はインマルサットビーガンでした、5分程度で先1週間分の情報がダウンロードできました。
ラジオや気圧計やアマチュア無線は今ではバックアップに過ぎません。僕は気象ファックスが搭載された艇にすら乗ったことがないです。
次は低軌道衛星による衛星通信の普及と使用料の低価格を期待している今日この頃です。
『霧の街サンフランシスコ』というくらいなのでサンフランシスコに行くにはレーダーは欲しいですね。ロサンゼルス行は1度だけ薄い霧の中を帆走りました。